サイト開設の経緯で簡単に説明しましたが、エンジニア的スキルが必要と思った自分が最初に取った行動はエンジニアスクール探しです。自分自身、全くの未経験者でしたし、年齢も年齢なので、独学は無理と判断した上での行動です。
「エンジニア」でなんとなく頭に浮かんだのは「Linux」。
「Linux」と「スクール」でネット検索して上位に出てきたのが「リナックスアカデミー」でした。無料の授業体験セミナーに参加し、個別カウンセリングを受けた後、同スクールで学ぶことを決意。
初学者でエンジニアスクールに入校
スクールが提供するプログラム全てを1年間に渡って好きなだけ受講できるフルスタックプログラムを選択しました。費用は確か税込で150万円強だったと思います。
150万が高額なのは重々承知ですが、例えば、リナックスアカデミーで標準的なネットーワクエンジニア向けやJavaデータベースエンジニア向けのコースが税込約80万です。2つのプログラムを受講すると合計で約160万なので、2つ以上の標準的なプログラムを受講したい場合はお得になる計算です。そして、最初に受講したのが
Linuxネットワークエンジニア+CCNA資格合格保証コース
初心者を対象に、コンピュータネットワークシステムの仕組みやLinuxの基本操作、PBL(Project Based Learning)形式によるLinuxサーバ構築演習を学ぶとともに、ネットワークを構成するルータ・スイッチについても実機演習を通して学習するプログラムで、Linux技術者認定資格「LinuC」とネットワークエンジニア必須資格「CCNA」の2資格の取得をめざします。
大まかな学習の流れは、大きく分けて以下の5つ。
- Linuxベーシックコース
- Linuxマスターコース
- LPIC資格対策コース(当時はLinuCがまだ無くLPICのみでした)
- Linuxサーバ構築演習コース
- CCNA資格対策コース
これらの一連のコースを平日の日中、毎日8時間、約2ヶ月で消化するプログラムです。主な学習内容は以下の通り。
inuxの基本的な利用法/ユーザー・グループの管理/vi/仮想コンソール/ネットワークの仕組み/Linuxにおけるネットワーク設定/ネットワーク診断ツール/インストールとその後の設定/Webの仕組みとWebサーバ/Apacheの起動と基本的な利用/Apacheの設定ファイル/CGI/名前解決ツール/ネームサーバの構成
SSHとは/OpenSSHにおける公開鍵暗号認証/安全なファイル転送(scp、sftp)/メールサーバの役割/ Postfixの運用管理/Dovecot/Sambaの起動とWINS/共有の基本設定/MicrosoftWindows Network/NFSサービス、システムログ/ジョブスケジューリング/NTP/システム運用状況の確認/冗長性/可用性/バックアップ/ネットワーク侵入に対するセキュリティ
LPIC資格対策
基本的なコマンド操作/テキスト処理/プロセス管理/ファイルシステム/ハードウェアとアーキテクチャ/ソフトウェアのインストールとパッケージ管理/X Window System/起動・停止とランレベル/ユーザ管理/システム管理/シェル/ドキュメント/ネットワーク基礎/セキュリティ/印刷
仮想ドメインを解決するDNSサーバの構築/インターネットサーバの構築/SSHサーバによる安全なリモートログイン/基本的Webサーバの構築/FTPサーバの構築/メールサーバの構築/各サーバにおける基本的なセキュリティ対策/OSSを利用したブログサーバの構築
OSI参照モデルとイーサネット/TCP/IPプロトコル/Ciscoルータの設定と操作/インターフェース設定と設定の保存/IPルーティング/スパニングツリープロトコル/CiscolOS管理/スイッチとVLAN/アクセスリストによるトラフィック管理/WANプロトコル
Linuxの基礎からサーバ構築に必要な知識を順を追って学習し、最終的には実機を使って一人でサーバを構築できるようになることが課題です。
ベーシックでは最終日に軽めのテスト、マスターでは卒業試験が行われます。
マスターとサーバ演習の間に、LPIC資格対策コースがありますが、資格取得のための対策という位置づけなので、少々毛色が違いました。ベーシックとマスターで学ぶことは多いのですが、それでも資格試験の範囲全てをカバーするものではありません。ベーシックとマスターでカバーしきれていない試験範囲に入っている内容を学ぶのがこのコースの目的となります。
CCNA資格対策コースも、Linux関連のコースとは内容が著しく異なります。Linux関連はLinuxマシンの操作が主体ですが、CCNAはCisco製のルーターやスイッチなどのネットワーク機器の操作が主体となります。Linux機器の操作に必要なネットワーク関連の基礎知識以外、全くと言って良いほど別の内容を学ぶことになります。ある意味頭をリセットする必要がありました。
自分はベーシック、マスター、資格対策、サーバ構築演習まで何とか進めたのですが、サーバ構築演習で苦戦し、ベーシックやマスターで学んだことが身についていないことを痛感。本来であればCCNAに進むのですが、一旦ストップしてもう一度ベーシックから学び直すことにしました。
最終的に、ベーシックから資格対策までを2周して、CCNA資格対策に進んだのですが、先に説明したとおり、CCNAコースの内容がLinuxコースと内容がかけ離れていたため、続けて受講した場合、Linuxの知識の定着が難しくなると判断。CCNAコースの受講を一旦取りやめて、Linux資格試験を受験することにしました。
いよいよLinuC試験受験へ
スクールではすでに一通りのコースを2度も受講しているので、これ以上の受講は不要と判断。以後はスクールのフリートレーニングを活用することにしました。
フリートレーニングは、開講時間であればいつでも好きなだけスクールの実機が使える自習プログラムです。コース受講後であっても3年間無料で利用できるありがたいプログラムです。
このプログラムを活かしつつ、LPI-Japan認定本とPing-tのオンライン学習システムを活用して、試験に備えることにしました。
認定本はあずき本と呼ばれる翔泳社のLinux教科書LPICレベル1用、白本と呼ばれる技術評論社のスピードマスター問題集、黒本と呼ばれるインプレスの徹底攻略シリーズの3冊をフル活用。
当時はLinuCが正式にリリースされたタイミングでしたのでLinuC対応の書籍はありませんでしたが、リリース後のLinuCは試験範囲がLPICと共通(いわゆるver.4.0)でしたのでLPIC対応書籍でカバーできました。
あずき本は、試験範囲や主題副題に設定された重要度を確認するため。白本と黒本は問題慣れと詳細な解説を読み込むことで理解度を高める目的に使用。
試験直前の数日間はPing-tでひたすら問題を解き、銅銀金システムのオール金を目指しました。
LinuCレベル1試験にチャレンジ
こうして、初学者でスクールに通い出してから二ヶ月半後にLinuCレベル1の101試験からトライすることになりました。
資格試験を受けるのはおそらくは運転免許の試験以来。しかもテストセンターでのCBT (コンピュータ・ベースド・テスティング) による受験は人生初。
めっちゃ緊張しましたが、結果的にはなんとか一発で合格できました。
ちなみに、スコアは670。
101試験の得点範囲は最高で800程度で合格ラインは500です。余裕とは言えませんが、セクションごとの正解率が70%越えだったのでクリアできました。
CBTの受験が初めてという方はピアソンVUEのCBT試験デモンストレーションを体験しておくことを強くすすめます。Ping-tでも似たような体験はできますが、ピアソンVUEとインターフェースは異なるので本番独特の環境を一度体験しておくべきです。あとは一度でも試験に望めば、極度に緊張することも無くなります。
ピアソンVUEのようなテストセンターで実施されるような資格試験は、年に1〜2回しか実施されないIPAの国家試験とは違い、空席があればいつでも受験が可能です。条件はありますが受験日時の変更も容易ですので自分の都合にあわせてスケジュールを組むことができます。だからといって無計画な受験はオススメしません。自分を追い込む意味でもしっかりと受験日を決めて、そこに向かって仕上げていくような流れを自分で作りましょう。
101試験合格後、間髪入れずに102試験の日程をおよそ10日後の3/23に決めました。
レベル1の試験範囲に関しては101試験受験前にかなりの部分を学習していたこともあり、短期決戦で望むことにしました。
試験日まで、前半は小豆本と白本で試験範囲と重要なポイントをおさらいして、後半はPing-tでひたすら問題を解くスタイル。
ちなみに、Ping-tは今後のレベル2の受験も考慮して半年のプランを選択しています。
102試験の結果は正直なところギリギリ。合格ライン520に対して600でした。
「ユーザインターフェイスとデスクトップ」と「セキュリティ」の正解率が50%台で苦戦いたのが響いたようですが、他のセクションの正解率が高かったので相殺できたようです。
そんなこんなで、102試験に合格できたので晴れてLinuCレベル1を取得できました。
LinuCレベル2試験にチャレンジ
LinuCレベル1取得の約一か月後にレベル2の201試験を受けました。
レベル2の試験対策は、レベル1同様、あずき本と白本と黒本の3冊、Ping-tの3本柱。あずき本と黒本は手軽に持ち運べるよう電子版を購入しています。
レベル1と違ってかなり苦戦した記憶があります。
正解率も6つのセクション半分が60%台。合格ライン520に対して12試験と同じ600ジャスト。
気を引き締める意味で202試験は少し間をあけて臨みましたが、それでもスコアは613と振るわず。
合格こそしましたがふがいなさが残る結果でした。
LinuCレベル3(304)試験にチャレンジ
レベル2を取得できたのでこれで終わりにしてよかったのですが、最高到達点を目指すのも良いかと思い、そのままの勢いでレベル3を受験することにしました。
問題は300、303、304のどれを選択するか。
苦手意識が強かったセキュリティの303は真っ先に除外。異機種間接続の300、仮想化の304の二択でしばらく悩んだのですが、クラウドの流れが加速していたこともあり、後者を選択しました。
2018年当時は304試験の対策本はインプレスの徹底攻略シリーズ、いわゆる黒本ぐらいしか存在せず、Ping-tでも問題集は提供されていませんでした。また、スクールでも対応プログラムがありませんでした。
自分は黒本とLPI-Japanが提供する例題と解説をプリントアウトして徹底的に読み込む作戦をとりました。
また、仮想化を実機で試すために「Xen徹底入門」という書籍を中古で購入したりもしました。
レベル2よりもさらに専門的な内容でしたので、理解が及ばない部分が多く、試験は散々。
不合格間違いなしと思っていたのですが、予想に反して、573というこれまでで最低のスコアながら合格できました。
当時はレベル3の受験費用が30000円でしたから、一発合格できて本当に良かったと思います。
以上が自分のLinuC受験体験談となります。
時系列でのまとめ
レベル3取得までの経緯をまとめるとこんな感じ。
2018年1月にスクールに通いだしてから約半年でレベル3を取得できていますが、フリーランスで一日の大半を学習時間を割けたことが大きな要因であると思っています。
全くの初学者で独力で資格を取得するつもりの方には参考にならないかもしれませんが、短期で資格取得を目指す一つの方法として参考にしていただければ幸いです。
ちなみに、LPI-Japanがレベル毎に一般的な学習時間の目安を提示していますので以下に記載しておきます。
- レベル1:1か月~3か月程度
- レベル2:3か月~半年程度
- レベル3:半年~1年程度
レベル3取得まで10ヶ月〜1年9ヶ月程度ということになりますでしょうか。
短期で取得することがスゴイわけでも何でもありませんので、これから資格を取ろうという人は、可処分時間と掛けられる費用を考慮しならが計画を立て、ご自身のペースで望んでいただければと思います。
参考:資格取得のための総費用
資格取得のための出費 | 金額 |
---|---|
エンジニアスクール(Linux関連プログラムのみとして計算) | 約80万円 |
参考書関連購入費 | 約3万円 |
オンラインサービス | 約1万円 |
LinuC受験費用(レベル1)15,000 x 2 | 3.3万円 |
LinuC受験費用(レベル2)15,000 x 2 | 3.3万円 |
LinuC受験費用(レベル3) | 3.3万円 |
合計 | 約94万円 |
スクールの費用が断トツで大きいですが、短期受験を目指すためであり、自分自身は納得しています。初学者でもエンジニアになれれば、この程度の学習費用の回収もそれほど困難では無いと思います。